2006年1月某日 こんなもんです・・・電気屋じゃなくてもこのくらいは。。。 初歩の初歩 | ||
今回は久々に?ナビ関係ではなく整備ネタ・・・ 最近はすっかりナビ付けが仕事になり本業?の電装品修理は 営業車(タクシー・ハイヤー・バス等)でオルタネーターの現物が出るくらい・・ 又、営業車も経費節減の為、不具合点検は殆ど自社整備工場で行うようになり 下請けの電装店(当社)に出てくる仕事はオルタネーターの単体OH、バッテリーの納品・・・ そしてここでもナビ付けの割合が多くなってきている。 そんなある日、朝出社すると工場長より前日の仕事の報告が・・・ その中の1件、 僕の担当のタクシー・ハイヤーの整備工場から ”オルタネーターがダメで代わりのオルタがない、急ぐので持っていくからすぐにOHしてくれ”と依頼あり。 通常整備工場からはオルタネーターを外した状態で持ってくるのだが 当社でオーバーホールしたオルタネーターがダメとの事で先方責任者が現車を乗って来て 「おたくでOHしたオルタネーターつけてしばらく走ったらバッテリー上がった!! すぐに外してOHして!」と・・・工場長は「やばッ!クレームか!?」と すかさずオルタを外してテスターへ・・・するとオルタネーターは全く異常無く発電していたため 元に戻してコネクター電源を確認するとイグニッションを入れたときに来るべき電源が来ていなかったそうだ。 で、その旨伝えると「わかった。じゃあこっちで調べる・・・」と責任者は帰って行ったそうだ。 (*一般のお客様なら当社で原因を調べるのだが、この工場では当社にて点検=お金がかかるので 基本的に自分の工場で調べる) と、報告を受け、僕はすかさず 「おいおい、そりゃヒューズ切れてるだけだろう。ヒューズくらい見てやればよかったのに」 「あ、でも先方が自社で調べるって言ったので・・・」「ま、それならいいか・・・」 と・・・・ その日の夕方、電話が鳴る。上の話の工場から。通常は僕の担当なので僕が応対するのだが 「メカニックの方」と指名があったので「あ〜〜昨日の車の件だな」と思い工場長に電話をまわす。 その後、僕はディスクで溜まりに溜まったメール返信に追われつつ・・ ふと電話機を見ると工場がまだ話中になっている。 ”ん??たかがヒューズ切れで何分話してんだ??”と思っていると 電話が保留になり工場長に呼ばれた。 「専務、今朝報告した車の件ですけヤッパリ発電してないから今から持って来たいと先方が言ってます。 けど、先方の言う通りだったら自分が診ても原因がわからないと思うので断ろうと思いますけど 専務診てくれますか?わかるというのであれば呼びますけど?」となにやらチョットきれている。 「んん??君が診て解らないものを僕が見ても同じだろう?ヒューズ切れじゃないの?」 「何度もヒューズは診ましたか?と言いましたが切れてないし電源も来てるしオルタも発電してる、でも 走行中にバッテリーが上がってしまうと言ってます。そんな事ってありえます?自分には考えられません」 なるほど・・・「まぁ、ラインドロップとか・・・ありえなくは無いけど・・・とりあえず診るから来てもらって」 と指示し電話を切った後、オシロスコープやらバッテリーアナライザーやら用意させる。 工「これ使って調べるんですか?」 僕「ん・・・多分使わないと思うけど一応ね・・多分サーキットテスターだけでたりるよ。いや目視だけかもね」 工「だって先方はヒューズは切れてないって言ってますよ?オルタも負荷かけて40A出てるって・・・」 僕「40A出てる??それ・・・多分バッテリーから流れてる電流でしょ・・・・」 工「それも電話で何度も確認しましたけオルタネーターの発電量で間違いないって・・・・」 僕「でも君が見たときはコネクターに電源来てなかったんでしょ?」 工「はい」 僕「じゃヤッパ発電してるわけないしヒューズ切れてるんでしょ。」 工「でも先方もプロだし・・・」 まぁ、工場長の言うことはもっともだ。が、電話のやり取りでチョットキレかかった工場長は 電気屋の基本をひとつ忘れてる。それは ”整備屋さんの言うことは自分で診るまで信じるな!”である。 経験上何度いらぬ苦労をしたか・・・(涙 修理や点検の際、問診と言うのは非常に重要である。 何時何処でどのような状況でどのような症状が出たのか。 これは一般の方相手でも整備屋さん相手でも必ず聴く。 が、整備屋さん相手の場合はそこから先の「ここは診たけどおかしくなかった」は信用しない。 必ず自分の目で見て確認しなければ痛い目にあう。 エアコンコンプレッサーが回らないからすぐ来てくれって言われて行ったらベルトがついていなかったり なんて可愛い方・・・・ヒューズやエアコンガスの量など基本的なことほど見落としがちなのだ。 ま・・・だから電気屋さんの商売が成り立つのだが・・・ 数十分後、車が来た。責任者と整備担当したらしき若い整備士が2人で。 ボンネットを開けると新品のバッテリー、更に新品のオルタネーター。 (わざわざ他の電装屋さんからリビルトを買ったらしい・・・無駄なことを・・・) 先方責任者と若い整備士が食い入るように見守る中、工場長がテスター類をセットし 僕はサーキットテスターで電圧を測る。電圧10.5V・・・エンジンかけると10.3V・・・ 予想通り全く発電していない。当社までの走行で新品のバッテリーも上がる寸前・・・ 僕「あ〜〜ヤッパリ発電してませんね。なんで発電してるって判断したんですか?」 (ま・・想像は付くけど・・・) 責「アンペア数測ったらここで40A出てたんだよ」(指差した位置は予想通り・・・) 僕「あ〜〜それ、バッテリーから流れてる電流ですね」 責「え?だってここをこうして・・・・中略・・・だからオルタの発電量でしょ?」 僕「違います・・・・・・・・・・・・・」 (普通はここで何故違うのか&正しい測り方を解説するのだがこの責任者の方は僕より遥かにベテラン &現在は現場よりも管理職。こういう方は自分の中で”これが正しい”と言う信念が固まってることが多く 説明してもわかってもらえないOR異常に時間がかかるので悪いとは思ったがあえて無視) 次にコネクターを外して電源を確認。やはり工場長の確認通り電源は来ていない。 (これも予想通り・・・・) 僕「あ〜〜ヤッパリ電源来てませんね。何で来てるって判断したんですか?」 若「いや、テスター当てたら来てたんで・・・・」 (・・・・・いえ・・来てないんですけど・・・・・多分もう一本の常時電源の方測ったのでは??) 僕「まぁ、ここに電源が来てないって事は当然発電はしません。ヒューズが切れてると思いますけど それは確認したんですよね?」 (ま・・確認しても見落としてるのは間違いないんだろうけどね・・・と メール返信の手を止められたことでチョットイラついてた僕は大人気なくチョット意地悪モードに入る) 責「見たんだろ!?」 若「はい、何度も・・・」 僕「一応基本ですので確認させてもらいますね〜〜〜〜〜」 (にっこり笑いながらも心の中は”絶対切れてるんだよ!!”) と言いつつ車室内に入りヒューズボックス内のヒューズにテスターをあてていく。 ここがポイント&基本中の基本。 一般的にヒューズは切れていることが目視できるように 溶断部が見えるようになっている。が、昔の管ヒューズ等では溶断部の付け根で切れていると 目視ではわからない場合がある。又、ヒューズ自体に電源が来ていないトラブルも考えられるので ヒューズの確認は必ず車両に装着状態でテスターをあてて確認する。 すると、予想通りヒューズ切れをテスターで確認。 ”ふん、ヤッパリな・・・あ〜あ、この整備士さんは責任者にたっぷり怒られるんだろうなぁ〜〜 まぁ、自業自得か・・・・」と思いつつヒューズを抜いて確認・・・・・ んんっ!?切れてない!??・・・測り間違いか? もう一度ヒューズを挿してテスターで確認、ひっくり返して挿しなおしテスターで確認、 やはり確実に切れている。そこでもう一度目視で確認すると・・・ う〜〜〜〜ん。。。 ブレード型ヒューズにしては珍しく見え難い溶断部の付け根に細〜〜い亀裂が入って切れている。 これは確かに目視ではわからないかも・・・切れていることを前提に確認しなけれ発見できないかも・・・ と・・ちょっと整備士さんに同情しつつも・・・いや、テスターで測ればすぐわかるんだから 基本を怠ったのが悪い。ヤッパ自業自得!! で、ヒューズを取り替えて作動確認、オルタは問題なく発電し 先方は「悪かったねぇ〜〜」を連発していそいそと帰って行ったのでありました。 まぁ、うちはこれが商売だし謝られるいわれは無いが ヒューズ切れを発見できずに3日も車を止められてオルタネーターリビルト&バッテリー交換されちゃった お客さんはたまったもんじゃないだろうな・・・・しかも個人タクシーだったし・・・・(爆 車の電気に関しては電装店の専門である。そして電装店はそれをウリに商売をしている。 が、整備屋さんでも基礎の勉強は当然している。ちなみに国家試験の電気装置整備士の試験内容と 2級整備士の試験内容の電気に関するレベルは同程度である。 もちろん、常に電気ばかりいじってる電装屋と車全体をいじる整備屋さんでは 慣れと言う意味で差は出るが初歩の初歩は同じだ。 整備屋さんが自社ですべて整備をするなら最低限の基本は実践して欲しい。 それができないならお金を惜しまず専門職である電装屋にお任せ下さい!! 最近整備業界からの仕事少ないんです!? と・・・最後は整備業界に対する電装業界のPRで締めさせて頂きました!? なんのこっちゃ!! |
のTOPへ | ||