知ってりゃ簡単知らなきゃ苦労:エアコン編こんなものが・・・・ 慣れた車種ほど要注意・・?
地獄の様な暑さで次から次へとエアコン修理・・・・・の7月。
この日は某整備工場からエアコンの修理依頼、車は個人
タクシーさんのセドリック。
すでに整備工場に入庫済み&
治らないと営業できないのでお客さんは大至急のご希望との事。
整備工場担当者は”とにかくせかされてるから今日明日中に直してくれ!”と・・・
が、この日は当社も予定が目一杯、点検もできない状態だったので翌日の点検・結果により部品発注、
部品入荷次第修理となるので3〜4日はかかる事を伝えると
”それでは困る!今日点検に来れないならとりあえず悪そうな部品だけ先に手配してくれ”
・・・・でた・・・一部の整備屋さん得意の”とりあえず悪そうなところを換える”だ・・・

が、
当社の仕事はその”悪そうなところ”を判定するのが本業だ。
点検もせずに見切りで修理(これは修理とは言わない、ただの部品交換)をするのは心外だし
後々トラブルが起こる可能性も高い。基本的にはお断りだ
その旨伝えると”だってセドリックなんてオタク得意だろう?何台もやってるでしょ?
悪い所だってわかるでしょ?うちはお宅に頼むしかないんだから!”
”それなら時間を下さい””時間がないからお宅に頼んでるんだよ!”
最後は意味不明?の勢いに押しマクラれ僕も折れて
”では、症状のお話からして一番確率の高い部品交換しますけど点検なし・症状未確認での交換ですから
 部品交換のみの依頼と言う事で、治らなくても責任はもてませんけど良いですか?”と了承を得て部品発注。
部品入荷後いざ修理!ちなみに症状は
普段は問題なくエアコンが効くが
数時間走るとエアコンが効かなくなりしばらくすると復活する
と言う事。
車回送時にはエアコンは充分効いている・・・・。で
、セドリックのエアコン修理は
当社では慣れたもの・・・主にハイヤーだが3桁以上は手がけている

その経験から今回のパターンで予想されるのはエバポレーター部の汚れで凍結、
サーミスターが働いてコンプレッサーストップ、もしくはサーミスター回路不良ってとこだ。
が・・・
実際にバラしてみるとその兆候が殆ど見られない・・・・ハズシたか??
しかし、エバポレーター・サーミスター・サーミスターアンプと同時にエキパンとレシーバーも交換するので
その他の要因(つまり等)であっても解消されるはず。
あと予想されるのは
コンプレッサーのクラッチギャップ、リレーの焼きつき等だが
これはある程度見た目で判断可能、どちらも問題なさそうだ・・・・

修理後しばらく試運転するも症状は出ない。とりあえず急ぎなので納車。
納車時には
”症状確認できなかったので治ってない可能性はありますよ”と釘をさす。

2日後、悪い予想はたいてい的中し・・・やはり走行後1時間で再発との事。
ここで整備工場側とはかなりもめたのだが(散々念を押したのに・・・)・
その話は
禁断のページネタになってしまうので置いといて・・・

今度は時間をもらって預かり、
経験及び現状から考えると怪しいのはリレーとクラッチしかありえない。
その途中の配線・・・てこともありえなくはないがリレーからクラッチまでは
コネクターひとつの一本線なのでまず問題ない。
(この認識が・・・・・・)
とにかく現象確認しなければ先に進まない。
症状さえ出ればテスター一発あてれば問題は解決するだろう。

とは言え乗り回す時間は無いのでまずは他の作業をしながら車庫内でアイドリングし続ける。
(環境汚染してすみません・・・・・)
4時間回すがその兆候も出ない
リレーもクラッチも良好だ・・・・・
お客様の話では必ず1〜4時間の走行で症状が出るとの事。
やはり走行しないと出ないのか?仕方なくひたすら近辺を走りまくる。
正直タクシーの回送をすると手を上げられちゃうのがとっても嫌なのだが・・・・
”回送札出してるしツナギ着て運転してるんだから手上げないでくれぇ〜〜〜
 乗車拒否してるみたいに思われて嫌だ〜〜”って感じ・・・2種免持ってりゃバイトしちゃうけど??


で、
3時間走ったところで整備工場担当者に電話、
症状でないんで一旦車戻します。お客さんが載って症状出たらすぐ見に行くって事で・・・・
と、工場に車を戻しに良くと・・・・事務所から担当者が飛び出てきて
「わかったよ!!原因!!俺、友達が日産のタクシー専門の工場長でさ!聞いたんだ!」
・・・・・・だったら最初からそっちに聞けよ・・・・(ーー;)・・とは絶対言えないが思いつつ・・・

聞いてわかるような話か??とも思いつつ・・・・・
コンプレッサーの線をさ!直接つなげって!!???ハ??何語ですか??
コンプレッサーの線は一本線なので直接繋ぐも糞もないんですけど???
と思いつつ・・・・
よくよく見ると・・・・・
なんじゃこりゃぁ〜〜〜〜〜!!コンプレッサーマグネットクラッチに行く一本線が・・・
途中で得体の知れない(見たこともない)どこぞから引っぱてきてある2本の線の1本に入り
もう1本から戻ってきている・・・・・・・・どうやら何かのユニットに行ってるようだが・・・
聞いてみると・・・なんと・・・
自動ドアのスイッチに連動しているとの事!!
タクシーの自動ドアはエンジンの負圧を利用しており開閉時にエンストしないよう、
コンプレッサーの電源を切るようカットスイッチが入っているようだ・・・
でもって
ここの接触が悪くなるパターンは多いらしい・・・・
で、直結してもエンストすることは殆どないのでこの故障が出たら直結でOKだそうだ・・・・
なら最初からそんなもんつけるなよ!!・・・・とは言えませんが思いました

なるほど・・・・知ってりゃ最初の電話の段階で終わってたな・・・・
この件での整備工場担当者との諍いもなかったろう・・・・
症状が出ている時に見れば一発でわかっただろうが
症状を出す為には何時間アイドリングしようが走ろうが・・・
自動ドアを開け閉めしなけりゃ症状は出なかっただろう・・・・・・・

やっぱお客乗せればよかったか??でもそしたら免許なくなるし・・・・
と・・・頭の中は意味不明・・・・・・

そこへ整備担当者の「
大塚さん、タクシーハイヤー専門なのに知らなかったの?」
の追い討ち・・・・
確かにお客さんはタクシー・ハイヤー会社がメインですけど
専門ってわけじゃありません。つーかハイヤーのエアコン修理は頻繁にやりますけど
タクシーの修理はオルタネーター単体とかだけなんです・・・(タクシーは殆ど自社整備)

というか・・・確かにセドリック3桁以上エアコン修理してるけど殆どがハイヤーで
自動ドアが付いてるタクシーは片手程しかやってない・・・・
が、・・基本的エアコンシステムは同じって事で
逆に多くの経験から安易な予想と点検場所を絞ってしまった僕が悪いのか・・・
これが全く経験のない車種だったらもっと早く・・・いや・・・・さすがにこのスイッチは微妙だな・・
つーかタクシーはやっぱり別物だ・・・・いや・・・もとをただせば電気のトラブルは同じ・・・
と・・・堂々巡りでなんだか虚しい一件でした。

で、今回の教訓は・・・
一般的には何でも経験のある事の方が解決は早いし楽に片付く場合が多い。
が、時として経験=先入観となり電気屋さんに一番必要である(と僕は考える)
頭の柔軟性・発想の転換を鈍らせる場合もあるので要注意って事
・・・・・って・・
いまさら教訓というほどのことではなく当たり前のことか・・・・・オチ無しということで・・・・失礼

*この記事書いた後、電装屋仲間に”この前個人タクシーセドリックのエアコンでさ・・・”って切り出したら
”個人タクシーの自動ドアだろ??”と間髪いれず切り替えされた・・・
”個タクやってる電気屋ならみんな知ってるよ!聞いてくれりゃ3分で終わったのに・・・”
・・・・・くぅ〜〜〜〜知らなかったのは僕だけ??このページを見てる同業の方には笑われてるかも・・・


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