2007年11月 音質改善・・ パナFクラスに外部アンプ追加の効果は?? ベンツGクラス編  
おかげさまで一般のお客様へナビ・オーディオ関連の仕事がすっかりメイン業務となった今日この頃。
そんな中、最近多いのがカーオーディオ(ナビ)の音質改善のご相談。
ホームオーディオでもそうですが音に関してはとても難しい面があります。
もちろん原音を忠実に再現することが音響機器の良い音の定義なのかもしれませんが
実際には
音楽のジャンルや音の好み等、個人差が非常に有るため
一概に”これが良い音”と決めることが難しい=基準値が無いのです。
更にこれがカーオーディオともなると各機器の特徴+組み合わせによる相性、
そして一番の問題の
車両ごとに異なる鳴りかた・・・等により大きく変わってくるので
「こうすれば必ず貴方のお好みの音に改善できます」と言い切ることは不可能となります。
例えば簡単なデッドニングで見違えるように(聴き違えるか・・・)音が変わる車種もありますし
あまり効果が感じられない車種もあります。そしてその効果自体も
どの程度変わったかの基準は個人の耳に頼ることとなり正解はありません。
もちろん、プロオーディオショップの看板を上げているようなカーオーディオ専門ショップなら
周波数測定機等で実際の音を測定しベストに近いセッティングを行えるのでしょうが
それでもその音が聴く人の好みに合うとは限らないのです。
ゆえに当社では、音質改善のご相談を受けたときは
無難にどの車種でも大なり小なり効果が得られる可能性が高い作業を
無難なメーカーの製品でお勧めすることにしています。
順番で言えば
スピーカー交換・デッドニング・システムアップ(サブウーファー追加・5.1ch等)と言うところでしょうか。
(ヘッドユニット交換も効果がありますが当社にご相談の場合、
 殆どがヘッドユニット交換後のお話なので・・)
もちろん、お客様自身がメーカーやシステム等にこだわりを持っている場合は
お客様の意向を最優先致しますがそれによりどんな音になるかは保証できません。
音質改善については”やってみなければわからない”要素が多すぎるのです。

と、前置きが長くなりましたが・・・今回ご紹介例は外部アンプ追加のお話。

お客様は数ヶ月前にベンツGクラスにパナストラーダFクラスCN-HDS945TDを
当社にてご購入、お取付御依頼頂きました。
その後の使用でどうも
音質がイマイチ・・・そこで外部アンプを追加したいとのご相談。
昔はカーオーディオの音質改善といえば外部アンプが当たり前でしたが
近年は内臓アンプの性能も良くなり流れは外部アンプよりスピーカーやデッドニング・・
ゆえに、この段階で僕がお客様に回答した内容は・・・
パナFクラスの場合、カロに比べ音質がイマイチなんて話は良く聞きますが
僕の経験上から言えば、確かにフラット状態では低音不足・深みが無い印象があるのですが
イコライジングにかなりの自由度と幅があり、きちんと調整すればかなり良い音がします。
それに、パナFクラスの場合、外部アンプ接続のためのプリアウトが無いので
スピーカー出力を減衰してアンプに入力=元もとのFクラスの内臓アンプの音が増幅されるだけなので
大音量で聴くには適するが通常音量での音質改善はあまり期待できません。
スピーカー交換やデッドニング等を先に試してみた方が良いのでは?

と言う回答でした。ゆえに、お見積もりも低コスト無難なモデル(カロGM-A3400)でご提案。
それに対するお客様のご希望は
やはりイコライジングを弄っても希望通りにならない&
長年乗っている車なのでスピーカー交換よりアンプ増設の方が適していると感じている
、との事。
そこまでお客様のご希望があるならもちろん作業はOK、
アンプもお客様のご希望でワンクラス上のカロPRS-D7400に決定、いざ取付となりました。
(このアンプはスピーカー入力も可能なのでプリアウトがないヘッドユニットでも
 レベルアダプター等無しで接続が可能です)

実作業は当社工場長が担当。
ちなみにナビ取付と違い、アンプ増設やスピーカー交換等の音質改善作業の場合、
交換工賃には必要部材(付属品以外に必要なケーブル代や端子代)の料金も含まれるのですが
お客様がご選択の製品ランクによって必要部材も変えるので工賃差が出ます。
要するに
一般的な価格の製品をご選択のお客様=コスト重視と考え一般的な部材使用
高額な製品をご選択のお客様=コストより音質改善優先と考え金メッキ端子等、高額な部材使用
となるためです。(もちろん、お客様のご指定があればそれに従います)
さて、作業の方は
工場長が黙々と作業を進め、そろそろ出来上がりかな?と
言う頃合を見はかり車に乗り込みました・・・
僕「
どう?
工場長「
あ、もう音出ますよ。テストしましょうか?
僕「
うん、是非・・・
そこでキーオン!!
まずはスピーカーからFMラジオの音が流れ出ます。
その瞬間!!思わず顔を見合わせる僕と工場長。
そう、ほんの一瞬の最初の音だけで
”これ、メチャクチャ良いじゃん”
って音だったのです。
当社ではこの手の音質改善作業を行った場合、必ず2人で音の確認をします。
特に僕は音楽センス&音のセンスが無いので・・・
大体の場合、まずは音を出し、次に何時もかけてるテストCDを入れて
ボリュームを上げたり下げたり、フェーダーやバランスを変えたり設定を変えたり・・・と色々聴いて、
音の出し初めから数分間は2人とも無言で音を聴き、ある程度のところでどちらかが顔を向け
「かなり良いんじゃない?」とか「結構良いんじゃない?」とか「うん、良くなったね」とか
「まぁ、こんなもんだろうな」とか「う〜〜ん・・微妙だね」とか言う評価になります。
効果が低い程どちらかが口を開くまでの時間は長くなります。

しかし、今回の作業ではまさに一瞬!ほんの数秒でお互いに
「メッチャ良くない??」と言ったのです。
その後、テストCDを入れ数分聴くもやはり評価は変わらず。
全体的にパワー感が出たのはもちろん
僕が感じたのは低音がハッキリ重量感がありさらにタイトでドライブ感が出たこと。
単に低音を強調するとモッサリした感じになりますが
この例では低音の輪郭ととキレがしっかり出ている・・・・・スンゲェ〜〜
工場長の見解では低音だけではなく全音域で輪郭がしっかりして良い音になっているとの事。

カーオーディオの音についてはセンスが無いと自覚する僕ですが
今回の件では自分の無知(勉強不足)を恥じる以上にその変化に感激し
お客様へのお引渡し時には「
メールで効果が期待できないなんて書いてすみませんでした」と
お詫びした次第です。。。
と言ってもあくまで僕&工場長の耳で聴いての事、お客様がどう感じるかは不明なので
お引渡し当日は「良い音になったと思います」と軽く言うだけにし、
お客様自身もお引渡し時の試聴では「あ、良くなりましたね」と軽い印象でした。
が、お引渡しから2週間後に頂いたお客様からのメールには
「音の厚みや拡がり、鮮やかさが増したようで大変満足」とありましたので
今回ご紹介させて頂くことにしました。

もちろん、あくまでこのお客様のお車・仕様ではこのように改善されましたが
すべての車種において効果があるかどうかは言えませんのであくまでご参考までに。
ちなみに、当社工場長、自分の車にはやはりFクラス(960)搭載で
スピーカー全交換&5.1chシステムを組んでいるのですがこの取付後、
僕もこのアンプ買います。イマイチ交換したスピーカーを鳴らしきれてない感じがしてたので・・
と言っていたので近々他の車種で同様の例もご紹介できるかも??


さて、今回のオチは・・・・又もや僕自身の反省ですね。
音質改善の手段は幾つもあり、外部アンプ増設は
昔ながらの?有効手段のひとつである事は勿論わかっていながらも
無難?と言う意味で外部アンプ増設よりスピーカー周りの改善を
お客様の意向を多少押してまで勧めてしまったことですね・・


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