2008年9月 同年式の同車種は同じ所が弱い?? その3 GX90系 知らなかったのは僕だけ?   
話しはまだ暑さ残る頃のお話ですが・・・

その日入庫したのはトヨタ
マーク2GX90
マーク2と言えば、80系はガス漏れで有名?な車種で
当社でも未だに毎年修理車が入庫するのですが
90系はそれに比べるとエアコン修理が少ない車種です(あくまで当社では・・・・)。

で、症状は・・・
MAXクールでは良く冷えるが温度制御が不安定
要するに
エアコンアイクルは正常に冷えているが制御系が不調と言うこと。
(このページは同業の方も良くいらっしゃるようなので、
 90系マーク2・温度制御不調で”あぁ~あれか・・”ってすでにネタがわかってしまったかも??


このような症状の場合、一般的にはセンサー類の入力、
駆動部であるエアミックスダンパーの作動等を確認していくのだが
オートエアコンの場合は
自己診断機能がついていることが多いので
これを使用すればセンサー類の不調は比較的簡単に判定が出来る

お車入庫後、早速、自己診断しようとすると・・・
ありゃりゃ、入庫車両はオートエアコンでも
液晶パネル無しで自己診断機能がついていないタイプ
とりあえず症状を確認すると・・
・ああ・・経験上、風の出方だけで解る・・・
これは間違えなくエアミックス関係の不調だ。エアミックスサーボモーターの交換かな??・・と・・・

しかし、その原因を確実に判定するのが電装屋の仕事
自己診断がついていない以上、一点ずつ点検して確認しなければ。。
が、点検に必要な資料(各センサーの規定値等)が
このタイプだけデンソーの資料に無くメーカー(トヨタ)の修理書が必要だ。
クラウンやセルシオ・センチュリーなら当社にもすべて資料をそろえているのだが
さすがに90系は用意してない。
で、この日は自己診断だけの予定で時間をとっていたので
お客様には後日時間のあるときに再入庫頂くと言う事となった。

さて、90系の資料・・・・メジャーな車なのでトヨタ系やってる同業者なら持ってるかな?と思い、
とりあえず業務提携している?
まこでんさんに電話してみると
ベテラン?の部長さんが出て・・・
”ああぁ~~90系のエアミックス。昔散々やったねぇ。
 あれ、サーボモーターが駄目になって酷くなるとリンクも外れちゃったり
 ネジ折れちゃったりするんだよね。モーターだけなら何とか頑張れば
 交換出来切るかも知れ無いけど基本は全バラシで手間かかるよね”

と・・・ありゃりゃ?
そんなにメジャーでよくある修理なのか・・・知らなかった・・・
(そう言えば、以前地方の方からメールで同じ故障の相談が何件かあったが・・・忘れてた・・)

確かに同年式のクラウンではエアミックス不良が多く、
僕も随分苦労して(
楽をしようとして逆に苦労する
本来、全バラシするところをバラサずに交換した記憶がある・・・・
(通常、手順通り全バラシしてやった方が絶対楽だし確実なのだが、費用が大きく違うので当時の取引先:ハイヤー会社に”何とか安く・・・”と突っ込まれると仕方なく・・・

余談ですが、電整連(全国の電装店の組合)のHPに組合員向けのノウハウページがあり、
車輌別や故障別での修理例・工夫等が掲載されているページがある。
と言っても投稿は少なく殆どが”そんなの知ってるよ”って感じなので僕はめったにチェックしないのだが
”もしかして・・・”と思い久々にチェックしたら・・・しっかり同例が2件も載ってました・・・・(ーー;)
ある資料は活用しなければ意味が無いですね・・・反省
&同業者の方、たまにはチェックしてみる価値アリですよ。
そして・・・それほどメジャーな故障だったのか・・
と改めて認識すると同時に仮にもデンソーサービス店なのに知らなかった自分が
恥ずかしい・・・

さて、再点検&修理。
せっかくまこでんさんから資料をまわして貰ったのだが、
資料を活用する以前に、ちょっとバラすとエアミックスサーボ&ダンパー部の不具合確認。
いざ修理にとりかかろうとすると工場長がやってきて
目をキラキラさせながら僕の方を見ている。
僕「何?」
工「
いや、このエアミックスサーボ。専務なら全バラシしないで裏技で取替えられるんですよね?
 その神業を是非、拝見させてもらおうと思って。

・・・・・・・・おいおい・・・そりゃクラウンの話しだって・・・
と言うか今回はモーターの奥のロッドも外れているので
どうやったって最低ダッシュボードは外さないと無理。
こんな些細?な部品を換えるだけなのにしゃくだが・・・・

僕「
これ見てみ?ダッシュボード外さないで交換できると思う?
「いや、どう見たって無理でしょう?それが出来るんだって言うからその神業を・・・
僕「
・・・・黙ってダッシュボード外すの手伝え・・・
と言うわけで2人がかりでやったのであっと言う間に?こんな状態

サーボモーター(青丸印部)一つ換える為にここまでバラします。

本来はパイプも外し、上部のダクトもとる為にガス抜き&ラジエター液抜きして
クーリングユニット・ヒーターユニットも外すのですが、そこまでやると費用も倍かかるので
今回はダクト部は浮かすだけで交換しました。(ちょっとテク必要です)

肝心のエアミックスサーボ部はこんな感じ。

写真ではわかりにくいですが、
エアミックスダンパーのロッドとサーボモーターリンク部(赤丸印部)のネジが折れて脱落しています。
(ロッドにネジの1部だけ残っています)
外した状態

しかし・・そんなに力がかかる&激しく動くところでもないのに鉄製のネジが折れるとは・・・
元々の原因はエアミックスサーボのがたつきで
それによりリンクに無理な力がかかる
→接続部のプレートが曲がる・ネジが折れる・脱落する、と言う具合の様です。

カゴテリー通り、同じ車種は同じところが弱いって事で
90系マーク2、チェイサー、クレスタにはよくある故障のようですが
よくある=元々の部品が弱いって事で・・・
簡単に交換出来る部品ならまだしもこれはちょっと辛いですね。

今回のオチは・・・文中の通り・・って事で・・(^^ゞ


最新記事 のTOPへ 前月記事