2009年9月 電装屋苛めの持代?こんな部品が設定無いの??(>_<)〜スバルインプレッサ編〜 | ||
今年の夏はあまり暑くない夏でしたが 八王子に移転した影響もあってか?例年に比べるとエアコン修理が多い夏でした。 エアコン修理と言うと”ガス漏れ”が圧倒的に多いのですが それ以外で比較的多い修理(故障)に”サイクルのつまり”と言うのがあります。 ちょっと薀蓄になりますが ”サイクルのつまり”とは、エアコンサイクル内に水分やゴミ等の不純物が入り込み、 これらがエキスパンションバルブ等のサイクル内で狭い通り道なってる部位につまり、 サイクルが循環しなくなる=エアコンが効かなくなる・・・となります。 又、この故障の場合、水分によるつまりだと、一旦エアコンを切って放置すると 次回エアコンオン時は一時的にエアコンが効くがしばらく走ると効かなくなる・・・と言う場合もあります。 なんにしろ、これら”つまり”の場合の修理は レシーバータンク(水分やゴミの除去の役目があります)の交換と つまり部分(エキスパンションバルブが主ですが車種によりEPR等の場合もあります)の交換が基本です。 コンプレッサー不良やガス漏れ(漏れてる場所にもよりますが・・)等の 他のエアコン修理に比べると比較的安価で修理できることが多いのですが・・・・ で、夏真っ盛りの某日、この日、エアコン不具合で点検・修理お見積もりに ご来社頂いたお車は平成12年式のスバルのインプレッサ。 お電話のお問い合わせ時にお伺いした症状から 上記の”つまり”であることが予想され、点検自体は簡単・・・なのですが スバル車のエアコン修理と言えばレガシィ・サンバーばっかりで インプレッサのエアコン修理は近年記憶にない為、 各パーツの交換難易度も確認するためにじっくり拝見させて頂きました。 不良原因自体はやはりエキスパンションバルブ部でのサイクルのつまりでしたので 定石通りレシーバータンクとエキスパンションバルブの交換、 で、それぞれのパーツを確認してみると・・・・・ あれれ??レシーバータンクがない??・・・・いえいえ、別に焦りません。 近年のエアコンサイクルではサブクール式のコンデンサーが採用されている車種が多く このタイプの場合、従来のレシーバータンクは無く、その代わりにコンデンサーの横部分に 従来のレシーバータンクに入っていた乾燥剤とフィルターが入っています。 ゆえに、この場合はレシーバー交換では無く、この乾燥剤&フィルター部を交換することになります。 この交換は近年のクラウン等でお手のもの・・・なのですが・・・・ やったことがない車種って事でお見積もり時点では このフィルター交換のために コンデンサーはそのままで大丈夫か?ずらせばOKか?それとも脱着が必要か? 又その際の付帯作業(主にラジエターやクーリングファン等の脱着)はどの程度か? を確認、で、このお車の場合はコンデンサーを外さないと交換でき無いかな??と言う感じでした。 次にエキスパンションバルブの取付状態を確認すると こちらも最近の国産車らしいセンターエバ。これも厄介そう・・・・ またもや薀蓄ですが 国産車の場合、エキスパンションバルブはエバポレーターと一緒に クーリングユニットに納められてることが多いのですが このクーリングユニット、昔は助手席側についており、グローブボックスを外せば ボコっと出てくる・・・って感じだったのが最近はセンターエバと言って ダッシュボード中央奥に設置され、ユニット取り外しにはダッシュボードを全バラシしなければならない ってパターンが多くなってます。ダッシュ全バラシといえば大作業・・・・ 昔は輸入車のエバ交換か、国産車ではヒーターコアの交換に限る仕事だったのですが・・・・ このあたりはまこでんさんのブログや当社ブログにも関連話がありますので 興味のある方はご覧下さい。 話戻って・・・作業手順の確認をしたら次は部品発注&価格確認。 早速、部品屋さんに電話してエキスパンションバルブとフィルターの在庫と値段を調べてもらいます。 これが、件名(サブタイトル)の「電装屋苛めの時代?」のひとつ。 そう、昔はエアコンやオルタネーター等の電装品の修理の際に必要な部品は 製造メーカー(デンソー・三菱電機・日立・カルソニック等)から普通に入手できました。 だって僕らは電装屋なのですから電装メーカーから直接取引きが基本、 もともとは整備屋さん等に電装部品を中卸するのも仕事のひとつだったのですから。 当然、マージンもそれなりにあり、一般のお客様の場合には 部品代は定価から10%オフ・・・でも部品代の利益も出たのです。 それが近年は事情も変わり、電装部品でも車両メーカー(ニッサン・スバル等)からしか 供給が無い・・・ってパターンが徐々に増えつつあります。 トヨタ等、デンソー社製の部品はまだデンソー社から買えますが 他メーカーではこの規制?がどんどん多くなっています。 まぁ、ホンダ車は昔からホンダ部品からの供給のみでしたが ニッサン車なんかはここ数年で一気に部品が出なくなりました。 ゆえに、今回の修理に必要な部品も、電装メーカーではなく 部品屋さん(車両メーカー部品)の手配となるわけです・・・・ああ・・やり難い・・・・ そして、さらに苦難?は続きます。 部品屋さんからの回答はエキスパンションバルブは問題なかったのですが フィルターの設定が無い・わからないとの事。 へっ???設定が無い???? ありえないでしょ???? だってフィルター=昔のレシーバータンク交換と言えば エアコン修理の基本必要部品でっせ??? まさか・・・・コンデンサーごと交換???? ちなみにクラウンやセルシオのフィルターは数千円・工賃も安いのに インプレッサのフィルター交換にコンデンサーごと新品交換なんてありえない・・・数万円かかる・・・ まさかと思い、仲のいい電装仲間数人に 「サブクール式のスバル車のフィルター交換やったことある? フィルターの設定が無いって話なんだけど・・・」と電話して確認してしまいました。 残念ながら経験者は居なかったのですが(スバル車のエアコン修理は少ないのか??) そのうちの一人がわざわざ調べてくれたところ、やはり設定が無くコンデンサーごと交換との事・・・ なんてこった・・・・・・oTL・・・・・ いくらなんでもこのパーツの設定が無いって言うのはおかしいですよ・・・・・・ そう、「電装屋苛めの時代?」のもうひとつは、車両メーカーの部品設定では エアコン・電装部品の個別設定が少なくなっていること。 今回のフィルターもそうですが特に電装品のオルタネーターの内部部品など ”このパーツだけ換えれば直るのに”って言う物の部品設定がなく、アッセンブリーで 交換しなければならないものが増えているのです。 電装修理は電装屋・・・の意味はもちろん、技術力・安心が一番ですが 電装屋ならピンポイントで不具合部品のみ手直し・交換ができ 整備屋・ディーラーさん等でのアッセンブリー交換より 費用面でも安く上がる・・・ってのもウリなのでパーツ供給が減っていく現状は 厳しいところもありますね・・・・・・ と。。。。今回は教訓&オチというより愚痴っぽいですね・・・・・・・ |
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こちらが取り外したコンデンサー。 この筒状の部分に乾燥剤・フィルターが入っています。 手前に見える底部分のクリップを外せば 中のフィルター類は交換できると思うのですが パーツ設定が無いために、 丸ごと交換です。 考えられない・・・・・・・・・ |
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ちなみにこちらは取り寄せた新品。 フィルターの部分の形状が変更になっています。 こっちは筒ごと交換できそうな感じのつくり。 もしかして・・・対策品?でこっちは フィルター部だけの設定がありそうな感じ・・・・・ (調べてませんけど・・・) |
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ついでに、交換の際、ダッシュバラシが懸念された エキスパンションバルブのほうは クーリングユニットの手前の方についていたので ダッシュボード全体をバラさなくても ブロワモーター外すだけで交換できました。 まぁ、サイクルのつまりでコンデンサー交換の上に ダッシュバラシじゃ目も当てられませんから 不幸中の幸いというところでしょうか・・・・・ |
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