2009年11月 嬉哀しき配線修理その6 同情するなら金をとれ!?〜アウトランダーナビ取付編〜
ここのところご好評頂いている企画のメモリーナビ取付コミキャンペーン。
今まで、あまり当社には縁の無かった?国産コンパクトカーのお客様が増え、
僕にしては珍しく?当り企画となっております。
お客様から”専門店なのにこの値段で取付やって儲かるんですか??”なんて
お言葉を良くかけられますが、そこはそれ・・・・
この企画に興味を示すお客様の大半は比較的取付が容易なオーディオレスの国産車の新車の方。
ゆえに集客効果も考えれば”割が合わない”って事はないのです。

で、次に多いのは今まで使ってたナビが壊れた・・・でもそんなに高いナビは要らない・・・って方。
こちらは既存ナビの取外しって手間がかかりますがその分は別途工賃が発生する為、損は無し・・・・・
が・・・・中には”こりゃ赤字だな・・・・・”ってパターンもあります・・・・(ーー;)



その日、メモリーAVナビ取付コミキャンペーンで最も売れているパナSクラスのお取付の
ご相談を受けたのは三菱アウトランダー。
オーディオは付いていないそうで・・・。
これだけなら、どうと言うことは無い話です。
が・・・・よくよくお話を聞くと・・・・
オーディオが無いのはオーディオレス仕様だからなのではなく
盗難にあってしまった
とのこと・・・・・おまけに配線は根元から切断されているそうで・・・・(>_<)

この場合、ナビをつけるなら、
まずは
ディーラーさんで元の状態に治して貰ってからご入庫頂くのが普通。
が・・・
配線を根元から切断されている場合、純正部品ではメインハーネス丸々交換となり、
ディーラーさんで作業すると莫大な費用
がかかってしまいます。
そこで、お客様は新たなナビをつける際、
純正ハーネスに戻さず、
直接新ナビに接続してしまえば変換ハーネスも不要で安上がり・
・・とお考えになった様で・・・
確かにこの状態の場合、
市販ナビをつけるなら純正状態に戻すより直接接続の方が安上がりになります。

話を聞いた段階で、商売人としては大アマチャン?な僕はまずは同情してしまい
”ああ・・・そうですね。いいですよ。やりましょう。
 価格は・・・コミキャンペーン価格と必要部品代以外に
 追加工賃で・・・う〜〜ん・・
8千円ってところですね。
と・・・・・。
この追加工賃は、
一昔前の車なら妥当な金額だと思います。
一昔前の車なら、僕ら電装屋にとっては切断されたオーディオハーネスを作り直すなど朝飯前。
配線図など無くてもテスターさえあれば簡単なのです


が!!!!!・・・・・そう言った後によくよく見てみると・・・・・
異常に配線が多くないか????なんじゃこりゃ??
”あの・・・・これって・・・もしかして
元は純正ナビ付き・・・・更にロックフォードシステム仕様では??
”はい”

・・・・・・・・・・・・(ーー;)・・・・・しまった・・・・また安請け合いしてしまった・・・・・
ノーマルオーディオとナビ&ロックフォードシステム付車じゃ手間は雲泥の差。
僕の悪い癖だ・・・・・

しかし、盗難と言う災難にあった直後のお客様の心情を察すると
”やっぱこの金額じゃ出来ません!”と言うのもなんだな・・・と結局その見積もりで作業することに・・・
こうなりゃとことんやってやる〜〜〜!!
←ブッちぎられたハーネスはこんな状態(ーー;)
この大量の配線を、まずはそれぞれの配線が
何の配線か切り分けしていきます・・・・。
コネクターが付いていないので
コネクターのピン位置で
配線を切り分けることは出来ません・・・(涙

ノーマルオーディオなら
スピーカー線の特定は比較的楽
なのですが
ロックフォードシステムのこのお車のように
外部アンプを介しているシステムだと
テスターで直接スピーカーを鳴らすと言う
手っ取り早い技が使えない為、
切り分けは非常に手間がかかります・・・


アンプ部との配線導通等を丹念に確認しつつ
何とか配線切り分けは終了しました。
普通なら配線切り分けさえ終われば、
後はギボシ端子を作って新ナビと接続して終わり・・
なのですが、ここでも純正ナビ&ロックフォードの難点が・・

そう、このシステムの場合、まともな状態だったとしても
市販ナビに交換する場合は
←ビートソニックの変換アダプターが必要
なのです。

で、このアダプター、専用アダプターですから
当然のごとく、純正ハーネスにポン付するように出来てます。
ゆえに、純正ハーネスがない今回の場合は、
このコネクターの各配線も分析し、ギボシ端子に作り変えて
対応する各配線に接続すると言う、悪夢のような
2重3重の手間がかかる
のです・・・・・・
しかし、乗りかけた船・・・いや・・・乗ってしまった船・・・・今更引き返せません・・・
と言うよりここまでくると、もう電気屋の意地と言うより、完全に趣味。
難関に当るほど嬉しいと言う、殆どドMの世界です。

面倒臭さより、それをいかにスマートに仕上げるかに集中し、
意外に短時間で電源線・信号線・音声出力線類の作成は終了。CDを入れてチェックもOK。

後はラジオアンテナを修復すれば無事終了。
ラジオアンテナは他の配線と違い、同軸ケーブルになっているので
接続自体は手間はかかりますが探すのは簡単

こりゃもう終わったも同然・・・・とちょっと気を抜き切断されたアンテナ線を探すと・・・・
ありゃりゃ・・・・そうくるか・・・・・
同軸ケーブルのアンテナ線らしき線が6本もある・・・・(ーー;)

そうか・・・・純正ナビ付って事は
アンテナ線はラジオアンテナ以外に
GPSとTVアンテナ4本で計6本か・・・・・
さて・・・どれが当りか・・・・・・

と・・・よく見ると、一本だけスポンジテープが巻いてある
ククッ・・・・楽勝ジャン。これで間違いないだろう・・・・

と、最後の最後で慣れからくる甘えで?
テストもせずにバカ丁寧に接続・・・・・・
で、アンテナ接続後、ラジオ受信のテストをすると・・・・・
あ〜〜あ・・・やっちゃったよ・・・・
ラジオ入らないジャン・・・・・
あのスポンジテープはひっかけか??・・・・

やはり、最後まで気を抜いてはいけませんね・・・・

結局、残り5本のアンテナ線を順番にテストしていくと・・・
運悪く最後の一本でヒット。
まぁ、これはご愛嬌って事で・・・・・
無事配線修復&新ナビ取付完了となりました!
と・・・完成後に車内のチェック(工具忘れやゴミのチェック)を
していたら、コンソールに盗難後の残骸を発見。

あれ・・・これ・・・・GPSアンテナの中継部だ・・・
でもって・・・アンテナ線部分にはスポンジテープが
しっかり巻いてある・・・・・

これに先に気付いてれば
最初からスポンジテープのアンテナ線は
無視したのに・・・・・・

まぁ・・無事終わったから良しとしましょう。
この作業の間、チョコチョコ覗いていた工場長、
「良くこんな仕事請けましたね。
これ、追加工賃2万円くらいですか?
「・・・・・・
いや・・・8千円・・・・・」と答えたとき、
工場長の目の奥に
”こいつ・・・バッカしゃないの??又、こんな割の合わない商売してるよ・・・・・
 お客様に同情するのはわかるけど、商売なんだから手間に見合った工賃は請求しろよ・・・
 こいつが経営者じゃこの会社の先は暗いな・・・・・
そろそろまこでんにとらばーゆ(死語)するか・・・
 あっちの方が給料良さそうだし・・・・”という光が見えた気がしたのでありました・・・・・(^_^;)

今回の教訓は・・・・・・
普通、商売は趣味では無く生活の糧ですよね・・・かな????


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