2007年8月 単純そうで意外に厄介  コンプレッサーの異音??   プロでも間違えます    
今年は猛暑・・・って事もありエアコン修理のお問い合わせ&御依頼が非常に多い夏でした。
で、一般のお客様からのお問い合わせ時にたまにあるのが
いきなり「コンプレッサーを換えて下さい」ってもの。
まぁ、他の電装屋で点検しコンプレッサー不良と診断されたならともかく
以前にも書いたとおり
エアコン修理に関しては実際に拝見しないと
正確な不良箇所の切り分け・見積もりは出来ない
のだ。
特にコンプレッサーに関しては「
コンプレッサーが回ると異音がする」「エンジンが調子悪くなる」等の理由で
安易に”コンプレッサー不良”と判断する方が多いようだ。
これに関してはディーラーさんや整備工場でも多々あること(カーショップ等では論外)なので
素人さんがネット等で調べてこう判断してしまうのは仕方の無いところか・・・
このあたりはエアコンページにも記載してますので興味ある方はこちらをご覧下さい。

さて、今年は一般のお客様以外、当社お得意様のハイヤー会社でもエアコン修理続発。
今年はクラウン(17*系)とセルシオ(UCF31)がちょうど?へたって来る時期らしく
連日コンプレッサーの注文が・・・・・
昔はハイヤーのエアコン修理と言えばガス漏れからコンプレッサー交換まで
すべて当社に御依頼頂いていたのだが、バブル崩壊後は経費節減でめっきり外注は減り
エアコン修理もハイヤー会社の整備士さんが行うようになった為
コンプレッサー不良の場合、当社はリビルト(O/H品)のコンプレッサーを配達するだけ・・・
まぁ簡単で良いし作業のみならず切り分けも担当の整備士さんがやるので
不良原因がコンプレッサーで無くても当社に責任は全く無いので気楽。
ただ、儲からないのと単に販売だけになるので仕事的には面白くないのだが・・・・

そんなある日、ハイヤー整備士さんから電話。
「昨日、
異音で交換したシーマのコンプレッサー
 
オタクから買ったコンプレッサーに交換しても同じ音が出る
 
アイドルプーリーやウォーターポンプも全部変えたしどう聞いてもコンプレッサーの音
 
オタクから買ったやつクレームだと思うので新しいの持ってきて!!」と・・・・
だから・・・そりゃ間違えなく他に原因があると思うけど・・・・
ただ、その整備士さんは僕が知る中でも腕が良い方だしコンプレッサー異音らしき時の
判断方法(ベルトのかかっている他の部品の点検)も僕よりは詳しい筈なので
”こりゃ本当にコンプレッサー不良か??”と頭の中にクエスチョンマークを大量に出しつつ
新しいコンプレッサーを持ってハイヤー整備工場に突撃。
念のため担当者に
本当に他のパーツはすべて確認したんですね??」と言うと
うん、今まで何度も大塚さんに指摘されてるしね。今回はプーリー関係は勿論、
 エンジン内部もすべて確認したけど間違いなくコンプレッサーの音

 
信用できないなら自分で確認して。点検料は払えないけどね。」・・・・・・・(ーー;)
点検料云々より、やっぱり自分で確認しないと信じられない性格の僕、
当然実車を拝見すると・・・・・・・
ん??エンジンルームで聞く分には別に異音などしていない。
勿論コンプレッサーが駆動するとその音はするが
別段異常な音でも無い
正常な物より作動音が大きいと言うわけでもない
僕「あの・・・・このくらいの音はするでしょ・・・別に異常じゃ・・・
整「うん、エンジンルームじゃ解らないけど室内に入ってエアコンオンオフしてみ」
と言われ運転席に座りエアコンオフ・オンを繰り返すと・・・・
”ゴォーーーー”
おおっ!?
・・・確かに・・・・これは間違いなくコンプレッサーの作動音
音的には正常作動の音だがその大きさが異常
室内では明らかにうるさいと感じるほど響く。・・・・・こ・・・これは・・・
「ね?コンプレッサーでしょ」と言う担当者の声を左に受け流し
もう一度エンジンルームに戻り再確認。
エンジンルームで聞くコンプレッサー自体の音はやはり正常な大きさ。。。

このような場合・・・・ま
れにあるのはコンプレッサーの振動と他の機器の振動が
共鳴・共振してしまい音が大きくなることがある
のだが
この場合はエンジンルームでも確認できる。
それに今回の場合、
室内での音の響きが尋常な大きさではない。。。共鳴とか言うレベルとは思えない
コンプレッサーの音が室内に響くとなれば・・・考えられるのは
クーラー配管のどこかが直接ボディ・シャーシーに触れているのか??
(クーラー配管は基本的にすべてボディへの取付部にはゴム等でクッションが入ってます)

一通り配管を確認するがその傾向はない。。。

とナりゃこれは・・・エンジンマウントしかないでしょ・・・・・・
(エンジンとシャーシーの間にはエンジン振動を押さえるクッションが入っています)

そこで担当者に「
マウント切れてるか、へたって無いか確認しました??
整「勿論みたよ」
僕「・・・・・・・・・これに関してはそちらの方がプロなのは充分わかってますけど
 失礼を承知でお願いします。もう一度マウントチェックしてみてください。
 面倒なのは知ってますけど外から目視だけじゃなくエンジン吊って実際に外してみてください」

整「え〜〜〜!でも大怩ウんがそういうんだったら・・・しょうがないな。。」

と渋々チェック開始。これで違ったら超顰蹙もので信用も失う可能性が高いが・・・・
と捨てられた子犬のようにビクビクしつつ待っていると・・・・
整「ああ〜〜〜〜〜っ!!浮かして見たら・・ここのマウント、
   外から見えないとこで亀裂が入ってる!!」

よっしゃぁ〜〜〜!!ほれミロ!!!

捨てられた子犬は一気に自信とプライドを取り戻しバツが悪そうにする担当者に
「ね??まぁプロでも見落としはありますよね。次からは更に注意してくださいね。
 あ、本当なら点検料請求したいんですけど今日のところは勘弁しといて上げますよ」

と言い放ったのでありました。あれ??これじゃ僕って性格悪い奴みたいじゃん・・・・・(^^ゞ

もちろん、エンジンマウント交換後は室内での異音は一切なくなりました。

と・・・・今回のオチは・・・
近年はネットで情報は得られるし、部品も購入できるし・・・ってことで
ネットや雑誌等の机上の情報やエアコン修理知識のないカーショップ等での
謝った判定のみで
安直に「コンプレッサーが悪い」と判断し
専門店の点検も受けずにコンプレッサーを入手し交換依頼
・・・
ってお客様もいらっしゃいますけど
これは非常に危険です。
エアコン不良(特にコンプレッサー関係)の判定は上記のように
プロでも切り分けを間違える事があるくらいシビアです。
DIYに自身がある方でもエアコン修理に関しては専門店にご相談なさることを
強くお勧め致します
ってご案内でした。


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